Roland PCMシンセサイザー
Fantom-X 徹底研究!  

※Fantom-X シリーズに関しては、Fantom-X6 Audio Track Expansion を元に書いています。
■ イントロダクション
 愛用の Fantom-X と XP-80 を比較すると共に、Fantom-Xを徹底解剖します。
 てゆーか、 ほとんど自分の備忘録っす。
● Fantom-X vs XP-80 徹底比較

● サンプラー機能を斬る

● ディープなTips

● あえて苦言

● 総 評

Fantom-X vs XP-80 徹底比較

  Fantom-X
Audio Track Expansion
XP-80 KAY的コメント
デザイン アルミシャーシが採用されていることからシルバーを基調としており、鍵盤やボタン、つまみ類の白と黒とも相まって無彩色の渋いカラーコーディネートになっているが、キーパッドが柿色に点灯すると、その雰囲気がぶち壊しになるのが痛すぎ。フォルムは近未来を感じさせるものがある。ロゴはもっとクールさが欲しい感じがする。 トラディショナルなブラックボディ。シンプルで飽きの来ないデザインだと思う。 Fantom-Xのデザインに関しては、ダサイと感じる人も多いようだ。やはり、キーパッドの点灯色が最大のネックではないかと思う。どうせなら思い切ってクラビアのノードシリーズのように、彩度のある色を基調にすれば違和感が無くなると思うのだが。でも、それはそれでキツイかも。(汗)
同時発音数 128 64 ライブでは同時発音数を超えることは無いので、特に気にしてません。
シーケンサーのトラック数 16
(8トラックまでオーディオトラックとして使用可)
16 フルオケなんて滅多に作らないので、個人的には十分ですね。
パフォーマンスのパート数 16 16  
プリセットパッチ 総計1024パッチ(バンクA〜バンクH/各バンク128パッチ) 総計348パッチ(バンクA〜バンクC/各バンク128パッチ) Fantomはつゆだくなパッチ数ですが、気に入った音が少ない。
ユーザーエリア パッチ:256
パフォーマンス:64
リズムキット:32
サンプル:サンプル容量に依存
パッチ:256
パフォーマンス:32
リズムキット:2
Fantomはメモリは拡大したけど、データの管理がいまいち使い勝手が悪いです。
デジタル入出力 44.1kH/16bit/コアキシャルSPD/IF なし あれば何かと便利です。
データバックアップ 全てのユーザーエリアデータをカードにバックアップできるが、データに名前を付けることができないので、1セットしか保存できないことになる。
ライブラリアンソフトを使ってSMFにエクスポートすれば複数セット保存可能だと思われる。
システムデータ、サウンドデータを別個にフロッピーディスクに保存できる。ファイル名も付けられるので、複数セット保存できる。 Fantomに意外な落とし穴が‥‥
アルペジエーター 新規パターン自作可能 新規パターン自作不可(プリセットパターンのパラメーター調整は可能) XPはアルペジオパターンの自作ができなかったので、結局リズムパターンなどで代用してました。
Fantomのアルペジエーターの分解能は16分なのが致命的欠点。結局、シーケンスパターンを使った方が自由度が高かったりして。orz
アンドゥ/リドゥ 単独キーが廃止になった。しかも、ボタンを3回も押さなければならない。 単独キーで一発。作業効率も良いし、リテイクも楽々♪ Fantomの大改悪点。使い勝手わりぃ〜(怒)
ピアノモード ボタンひとつですぐピアノを弾け、細かい音鳴りも簡単にエディットできる、ピアノ専用モード。 なし 正直、差別化の苦肉の策に思えるが、ピアノにこだわる人には便利かも。まぁ、ボクには無用の長物ですが。それよりアンドゥキーを‥‥(しつこいw)
ノブコントローラー 音色パラメーターなどのリアルタイムコントロールや、パラメーターエディッに対応している。 ノブではなく、スライダーが装備されている。 素早いパラメーター変更が可能。
Dビームコントローラー テルミンよろしく、怪しい演奏ができる。アナログモノシンセや、各種音色コントロールなどを操作できる。 なし ライブでパフォーマンスかましてみましたよ。けっこうウケました。(*^_^*)
テンキー キーパッドと兼用。ただし、テンキーとして機能しない場面もあるし、場合によっては16までしか入力できないバグもある。 普通に装備。 これもFantomのひどい改悪点。作業効率さがりまくり。しかもバグもあるときたもんだ、と。
パートキー 思いっきり廃止。何を考えてるんだーーーー?!ここまでくると、嫌がらせとしか思えない。 パート1〜パート8、またはパート9〜パート16の任意のパートをダイレクトに選択できます。パフォーマンスに音色を並べておくと、ライブで超便利です。 どうやってFantomでライブをやれと?
タクトスイッチの反応の悪さも相まって、ライブでの使い勝手は太古まで退化した感じがします。
バンクセレクトキー 対応するキーはありません。基本的にはGUI上でカーソルキーやジョグダイアルなどで選択します。パッチ/リズムの切り替えも同様です。 [SHIFT]+テンキー で、サクッとバンクの切り替えができます。 改悪の嵐に涙ちょちょぎれます。
文字入力 キーパッド、ジョグダイアル、ソフトキーボードなどの方法がある。キーパッドで入力するときはケータイ方式。XPには無い、DEL, CAPS LOCKなどのキーも用意されているので便利。 テンキー、ジョグダイアル、ソフトキーボードなどの方法がある。テンキーで入力するときはケータイ方式。 Fantomになって、若干進化しましたね。
ブックマーク機能 特定ページへのショートカットを、キーパッドに割り当てることができる。Fantomはページ階層も深いので、非常に便利。 なし これはいいね。Fantomユーザーなら、試してみる価値あり。
お気に入りパッチ/パフォーマンス機能 使用頻度の高い音色をボタン一つで呼び出す機能。パッチ、パフォーマンス、それぞれ8つずつ16バンク登録できる。 特に必要性を感じない。 パッチモードとパフォーマンスモードではお気に入り画面を出す手順が異なる。パフォーマンスのお気に入りの場所が非常に不可解。使い勝手も微妙に違うため、かなり違和感を覚える。 
ライブパフォーマンス機能 曲毎に使用するパッチ、パフォーマンスを登録し、ボタン一つで呼び出す機能。 無し 一見便利なようで、実はほとんど使い物になりません。
音色パラメータ仕様 ●周期の単位がHz
●設定幅が127
●周期の単位は無し
●設定幅が150
かなりバラバラなので非常に混乱します。なんとかしてくれ!
パソコン連携 専用の音色エディタと、ライブラリアンが標準で付属しています。ただし、個人的には操作性がイマイチですね。特にライブラリアンが。 標準では付属していません。シェアウェアなどもいくつかありますが、「Change it!」というフリーウェアがお勧めですね。
エフェクター マルチエフェクター(MFX) 3系統(制限有り)、
コーラス、リヴァーブ、マスタリング(3バンドコンプレッサー)それぞれ 1系統ずつ
マルチエフェクター(MFX)、
コーラス、リヴァーブ、それぞれ 1系統ずつ
毎度のことながら、パフォーマンスモードでのルーティングは悩みます。パッチはエフェクトを含めて1つの音色なわけですが、パフォーマンスではエフェクターは各パート共用なので、その音色を維持できませんからね。
各パート1系統ずつMFXが挿せればいいんだけどなぁ。パソコンのDAWに慣れると、かなり窮屈に感じます。
もういい加減、足かせの多いシステムを根本的に見直してほしいです。

サンプラー機能を斬る!
機能 主な仕様 備考
録音ソース ライン信号(フォーン端子)、デジタル信号(同軸SPD/IF)、マイク(フォーン端子) ハイインピーダンスには対応していないので、エレキギターなどをつなげる時はDIなどが必要。ダイナミックマイクなら直差しできるのが便利ですね。
録音機能 自動録音開始機能、アナログライクレベルメーター、インプットエフェクトの掛け録り機能 画面デザインが凝ってます。
録音時選択可能エフェクト イコライザー
エンハンサー
コンプレッサー
リミッター
ノイズ・サプレッサー
センター・キャンセラー
実は、MFXにもルーティングできたりもしますが、掛け録りはできない。orz
サンプルエディット機能 トランケート
エンファシス
ノーマライズ
アンプ
タイムストレッチ
チョップ
コンバイン
ボクの場合、波形編集はパソコンでやっちゃうので、トランケート(不要部分カット)しか使ってません。ループ部以降は不要なわけだしメモリの無駄になるので、トランケートでカットしましょう。
マルチサンプル機能 ベロシティーに対して128レイヤー可能 ベロシティーに応じてサンプルの鳴らし分けができる。
マルチサンプルは、パッチの構成要素であるウェーブと同等の位置づけになります。編集したい時は、パッチエディット内から呼び出す必要があります。

ディープなTips
リアルタイム・コントロール効果の維持および解除 Patch Remain の設定に左右されます。リアルタイム・コントロールの説明のページにはそんなこと一言も書いてないぞ!!
パッチ・リメインについて この設定は気付かないと思わぬ落とし穴にハマります。

パッチ・リメイン ON:パッチを切り換えた時、前の音は途切れません。また、各種リアルタイム・コントローラーでいじったパラメータもそのまま引き継がれます。オンになっているのを気付かないで音色選びしてしまう可能性があり、超危険、というか混乱の元です。これはライブ演奏向けの設定と言えます。コントローラーの値をデフォルトにリセットするには、パッチ・リメインをオフにするか、電源を切るしかありません。

パッチ・リメイン OFF:素の音色が間違いなく鳴るので、音色選びなど、仕込み向けの設定と言えます。ただ、音色切り換えが不連続になるので、ケースバイケースでオン/オフを切り換えましょう。
シーケンサのテンポがいつの間にか120に変更されている かなりイライラの元となる怪現象でしたが、やっと謎が判明しました。これは不具合ではなく、テンポシンク設定に基づいた動作だったのです。パフォーマンスは、テンポシンクデータも持っていて、パフォーマンスを切り換えた時にその値に強制書き換え(オーバーライド)されます。パフォーマンスを保存したときもオーバーライドされます。ちなみに、デフォルトのテンポは大抵のパフォーマンスは120になっています。これがデフォルトの動作なのです!orz (余計なお世話だよ‥‥)
もちろん、オーバーライドを無効にすることもできます。
マルチサンプルを呼び出せない マルチサンプルは通常のサンプルと違って、Fantom内部での扱われ方が特殊です。正直、なかなか理解できませんでした。どういうふうに特殊かというと、パッチエディット内でしかマルチサンプルを呼び出したり編集したりできないんです。つまり、パッチエディットが窓口になるわけです。ちなみに、作成したマルチサンプルは基本的に削除や初期化ができません。全て工場出荷時に初期化したり、すれば別ですが。 いらなくなったマルチサンプルを初期化するには、マルチサンプルエディタ内で全てのサンプルを消去して、上書き保存すればOKです。ただし、1個ずつやらなきゃなりませんが。
サンプルのオリジナル・テンポの小数入力 [SHIFT]+[INC] または [SHIFT]+[DEC] で小数単位の増減ができます。
一応マニュアルには書いてあるんですが、オリジナル・テンポのみのローカルルールなので意外と盲点なんですよね。本来なら取説の「値を変更する」の項でも触れべきですよね。
使用可能なカードメディア とりあえず、PCカード変換アダプタがあれば、たいていのカードメディアが使用できます。ただし、CardBus対応のアダプタは使用できません。実際試してみたのが、CFカードはデフォルトとして、マイクロドライブ(1GB)、SDカード(256MB)、スマートメディア(128MB/3.3V)です。ちなみに、データ転送速度はどれも五十歩百歩ですね。高速タイプのメディアを買ってもお金の無駄になるだけだと思います。CardBus非対応というのが転送速度的にもボトルネックになっているんでしょうね。
マルチエフェクト(MFX)はホントに3系統? 確かにマルチエフェクトを3系統搭載していることになっていますが、実際に3系統使えるのはパフォーマンスモードだけですパッチモードでは相変わらず1系統しか使えません。なんじゃそりゃ?パッチのエフェクトルーティング画面ではMFX2も見えていますが、点線表示になっていています。MFX2は、リズムパッドからの入力に対してのエフェクトとして使用されます。
パフォーマンスモードでは、MFXの接続パターン(ストラクチャー)を選択することもできます。
一音ごと交互にパンを変えるようにする オートパンでは無理です。オートパンは一定周期でパンが移動するわけですから。
実は、そのまんまの機能を持ったパッチパラメータがあります。[TVA]のページにある「オルタネイト・パン・デプス」というパラメータです。
椎名林檎の「ここでキスして。」をライブでやった時、ギターソロ明けのところ(VOX系の音色)で使いました。(仕込みの時間があんまりないっていうのに、こういうところまで凝ってしまうんだよなぁ‥‥(苦笑))
右手と左手で別の音色を演奏する わりと基本だとは思いますが、念のため。
方法としては、パッチで組む場合と、パフォーマンスで組む場合がありますが、考え方は同じです。
STEP1 二つの音が同時に鳴るようにする
STEP2 それぞれの発音鍵域(ゾーン)を設定する。

ちなみに、あるキーを境に別の音色が鳴るというキーレイアウトの状態を「スプリット」「ゾーニング」といいます。
場所とか関係なく、複数の音が同時に鳴るようなキーレイアウトを「レイヤー」といいます。ユニゾンしてるのと同じことなんですけどね。

パッチ編
STEP1 パッチはもともとレイヤーになっていると言えますので、いくつかのトーンを有効にすればいいだけです。
STEP2 コモンセッティングのページで各トーンの発音鍵域を設定します。

パフォーマンス編
STEP1 パフォーマンスは、従来、選択したパートの音だけが鳴る「シングルモード」と、複数選択したパートの音を同時に鳴らす「レイヤーモード」がありましたが、Fantom は特にモード設定はありません。複数のパートのキーボードスイッチにチェックを入れればレイヤーモードになったというのと同じことです。つまり、すでにモードという概念はいらないわけですね。
STEP2 コモンセッティングのページで各パートの発音鍵域を設定します。
USB機能 Fantom-X のUSBモードは二つあります。MIDIをエミュレートした「MIDIモード」と、Fantom-X をマスストレージ機器(外部記録装置)として扱う「ストレージモード」です。USB1.1じゃデータ転送速度的にデータストレージには役不足といわざるを得ませんが、MIDIモードでは必ずしもそうでもないんですよね。そもそも、MIDIの転送速度は、31.25K bps と規格で決められているので、USB1.1でも余裕しゃくしゃくなのです。通常、MIDI接続には入力用と出力用の二本のケーブルが必要ですが、Fantom-X は、USBケーブル1本でMIDIをやりとりすることができるので、パソコンの外部音源として使用する時は非常に便利ですね。
つか、いい加減、MIDIも新規格を立ち上げて欲しいなぁ。。。
背景画像の作り方 使用可能な画像の仕様は以下の通りです。
Bitmap形式 (bmp)
320×240 ピクセル 256色

元画像がフルカラーの場合、減色する必要があります。使用パレット、減色アルゴリズムによってけっこう画質が変化するので、いろいろ試してみましょう。
マスタリングFXで音が変わる変わる マスタリングFXはデフォルトではONになってますが、オフると音が結構変わるのに気付くはず。デフォルトではドンシャリの設定になってるので、派手に聞こえるはずです。マスタリングFXを持たない機種の音色をシミュレートする時は、注意が必要です。
リアルタイムでテンポを修正する ライブだと、テンポはドラム次第なので、フレーズ化してあるサンプルとかはズレやすいんですよね。特に3秒以上のサンプルはけっこう厳しいです。こんなときに役立つのがタップ機能ですが、タップキーをプチプチ押すのは、スイッチが消耗するし、手が片方ふさがってしまうので、できればやりたくないというのが本音です。
しかし、ダンパーペダルなどでタップすることもできるのです。[MENU]→[CONTROL]で、コントローラーのアサインを「TAP TEMPO」にすればOK。
音色を多用するなら‥‥ ボタンは反応が鈍い時もあったりして、あんまり信用できません。できれば、キーレンジでゾーニングしてスプリットで使うのが一番確実です。パフォーマンスだけでなく、トーン自体もキーレンジパラメータを持ってるので、パッチレベルでスプリットさせるという手もあります。ゾーンが足りなくなったら、リズムパッドや、RPSを駆使するという手もあります。


あえて苦言
ボタンが致命的に少な過ぎ アンドゥ/リドゥ 機能 アンドゥ/リドゥボタンが廃止になったので作業効率が致命的に悪いです。物理的にボタン追加は無理ですが、ボタンの割り当てを変更できるようにするとか、ソフトで何とかできるはず。
音色バンク選択が面倒 内蔵バンクや、拡張ボード、リズムセットなど、昔はボタン操作ですぐに選択できたんですが、Fantom-Xでは、カーソルを合わせて選択などという回りくどい操作になりました。これも致命的。
パフォーマンスのパートセレクトキーが無くなった 他の人がライブでどういう使い方をしているか知りませんが、ボクは曲ごとに使う音色をパフォーマンスにまとめる派なんですが、XP-80ではファンクションキーで8つのパートを瞬時に切り替えられたんですが、Fantom-Xでは、操作仕様変更でこの技が封印されてしまいました。Fantom-Xではカーソルキーで順送り選択するしかありません。しかも、キーのレスポンスが不安定で、選択ミスしがちで、かなり神経を使います。みんな、どうやってライブやってるんだろ?謎だ。。。
パラメータのデフォルト値の資料がない マニュアルに各種パラメータのデフォルト値が書いてない。元の設定値がどうだったかなんて、いちいち覚えていられないですよね。
メモリの無駄遣い? ヘルプや背景画像など、メモリの無駄じゃないかと。昔なら「不具合修正したくても、メモリ容量がギリギリで容易ではない」という場合もありましたが、現在はこの手の言い訳は通用しないということですよね?てゆーか、ヘルプなんて名ばかりで、ほとんど用語集じゃん!(笑)
まあ、Fantom の背景画像にサトエリハニーを貼ってるオレが言うのもナニですけど。(爆)
最近は、X−MEN3の画像に換えました。かなりマッチしてます。Xつながりだし。(笑)
中途半端な数値入力方法 コピー先の小節指定の入力時など、パッドのテンキーによる数値入力機能の挙動がおかしい場合がある。コピー元の小節指定では問題ありませんが、コピー対象小節数、コピー先小節指定の時は、パッドでは16までしか入力できません。何のためのテンキー入力機能なんだよ!サポートに小一時間問いつめたところ、『仕様です』(開発担当談)と言い切られました。動作不良や不具合とは言えませんが、誰が考えても明らかに意味不明な動作です。それを「仕様」と言っていいのでしょうか?プログラムをかじったことがある人なら、すぐにバグだと思うはず。
食い下がって抗議したところ、サポートのお姉さんもヘンな仕様だという事を認めて、開発担当に改善要望を伝えてくれることになりました。まあ、仕様と言い切ってるくらいだから、期待はしていませんけどね。つーか、誰も気付かないのか?
さらに、マイクロスコープ内でのエディット操作はテンキーパッド入力自体に対応していないというのも困りもの。(特に、Moveの数値指定で使いたいのだが)

コピー元は普通に数値を入力できる

対象小節数、コピー先小節を指定する場合(SELECTが表示されている場合)はパッドに対応した16までの数値しか入力できない。なんじゃそりゃ?サポート担当者さえも理解不能な仕様。
ボタン少なすぎ アンドゥボタンにも関連しますが、少なくとも、あと10個くらいは欲しかったなぁ。音色切換用のダイレクトボタンが全くないのは大問題でしょう。パッドが装備されたあおりでしょうな。
PCカードからのデータ転送が亀 CardBus非対応ということからも、PCMCIAインターフェイスの転送速度がボトルネックになってるのではないかと思います。なので、いくら高速なカードメディアを使ってもあまり効果はありません。100MBのサンプルを読み込もうと思ったら、10分くらいは覚悟しないといけないです。いまどきCFも時代遅れなので、次期モデルはUSBメモリ対応を希望!
使えるようで使えないライブセッティング機能 せめて、各音色のレベル、オクターブ、コースチューンが設定できないとライブで使いづらい。てゆーか、存在意義あるの?
取説が洗練されていない 昔に比べれば少しは良くなっていますが、相変わらず、目的の内容を探すのに苦労することがけっこうある。関連項目への参照が少ないし、索引も大ざっぱで、ナビケーション性が低いんだよね。Tipsのようなものも少ないし。昔っからのRolandシンセユーザーのボクでさえヒーコラいってるくらいくらいだから‥‥以下省略
本体に傷が付くハードケース ハードケースは輸送には安心ですが、なんと、緩衝材との摩擦で本体の塗装がはがれる部分があります。本体機能は保護されても、外観は保護対象外というのは本末転倒ではないかと。これも『仕様』ですかね。(苦笑) モノ作りの姿勢としてボクには理解不能です。
もっと緩衝材の素材を吟味してもらいたいと思います。
マルチサンプルってどうやって呼び出すの? 取説のマルチサンプルエディットのページに、肝心のマルチサンプルの呼び出し方が書いてないなんていうのは論外でしょう。
オーディオトラックに貼り付けたサンプルは強制的にタイムストレッチされる オーディオトラックに貼り付けたサンプルは、テンポを変えると、ピッチを維持したままテンポに同期します。これはこれで便利ではありますが、サンプルのオリジナルテンポを正確に設定しておく必要があります。テンポに同期する必要が無い場合もありますよね?
パッチには、テンポに同期するかしないかを設定するパラメーターがありますが、サンプルにはそういうパラメーターがありません。パッチ化すれば回避できるかと思われますが、MIDIデータで打ち込むことになるので、オーディオトラックのメリットを享受できなくなります。なんだかなぁ、という仕様です。
USB1.1でも不満 ライブラリアンや、音色エディタのデータ転送がちょっと遅いっすね。発売時期からすれば仕方なしかな。次期モデルは、USB2.0 はもちろん、USBメモリにも対応して欲しいなぁ。サンプルの読み込みも格段に早くなるはず。
ユーザーデータとカードデータ間のコピー 本体のユーザーエリアをカードに、またはカードからユーザーエリアにパッチなどをコピーしたい場合、ライト操作で保存先を指定するという原始的な方法しかありません。
見掛け倒しのライブラリアン 上記のユーザーエリアとカード間のデータコピーに関連してですが、付属のライブラリアンソフトを使えば簡単にできるのかと思いきや、このソフトではユーザーエリアのデータの管理しかできないんですねぇ。つまり、カードのデータ管理機能が全く無いってことです。ありえねー
データトランスファー機能がない 何をしたいかというと、パッチデータなどをMIDIデータ化して保存したいということです。ネットでオリジナル音色の公開とかに便利かな、と。
サンプルデータロードが大雑把 サンプルをロードする場合、一括ロードすれば一番手っ取り早いわけですが、オーディオトラック用サンプルを含めデータが大量にある場合、とんでもない時間がかかってしまいます。かといって、必要なサンプルだけちまちまロードするのもかなり面倒。
例えば、ソング読み込みの時に、ソングに使用されているサンプルをチェックして、未ロードの場合、ソングで使用されているサンプルを読み込むかどうか確認メッセージ出すとか、パッチやパフォーマンスにしても、使用されているサンプルだけボタン一発でロードできるとか、スタートアップで読み込むサンプルを個別設定できるとか、なんでそういうきめ細かい機能がないのだろうか?
時計が無い 時計機能が無いので、当然、ファイルのタイムスタンプも固定です。タイムスタンプくらい何とかしてよ。
フォルダ階層に非対応 まったくDOS以下のファイル機能ですな。

総 評 ★
 メリットとデメリットが両極端になったという感じがします。

 諸悪の根源は、ボタン数の削減にあります。機能が増えた分、従来あったアンドゥや音色切り替え、テンキーなどのボタンがバッサリ廃止されました。テンキーの代替となるはずだったリズムパッドの操作も場面場面で統一性がなく、意味不明な動作も見受けられるという未完成なものでした。パートセレクトキーも廃止され、個人的には、ライブで使用するには非常に使いにくくなったと思います。おそらく、コスト削減とかの問題ではなく、ある特定のジャンルの音楽に比重を置いて開発されたためではないかと推察します。
 ボタン削減するんだったら、タッチパネルを採用するべきだったでしょう。
 また、データ管理機能も非常にお粗末です。

 一方、サンプラーの搭載自体は歓迎できます。音源モジュールや生録サンプルなど、音ネタを持っていれば、サンプラーに読み込んで、音色として使用することができるからです。ライブではシンセ一台しか使わないことにしてるので、これはありがたいです。これはライブでも強力な武器になってます。
 また、オーディオトラック機能も、耳コピに重宝してます。

 次期モデルには、DTM用音源モジュールに毛が生えたようなレガシーなものでなく、DAWのシステムを取り入れた新しいアーキテクチャのミュージック・ワークステーションを切望します。